2026/02/20
こんにちは。品川の歯医者・かなもり歯科クリニック 歯科医師の沼部です。
「受け口は見た目の問題だけ」
そう思っていませんか?
近年、受け口(反対咬合)や噛み合わせの異常が歯の寿命に大きく関係することが明らかになってきました。今回は、最新の研究論文をもとに受け口が歯を失いやすい理由と、その対策について分かりやすく解説します。
目次

下の前歯が上の前歯よりも前に出て噛んでいる状態のことを、受け口(反対咬合)といいます。
このような噛み合わせでは、見た目の問題だけでなく
・前歯でうまく噛めない
・顎の動きが不安定になる
・奥歯に負担が集中する
といった問題が起こりやすくなります。
2026年1月に東北大学大学院歯学研究科顎口腔矯正学分野、 助教 沼崎研人先生らの研究グループより注目すべき内容の論文が発表されました。
その結論は、
「受け口の人は前歯の被蓋が正常な人に比べて歯の喪失リスクが1.48倍である」というものでした。
東北大学大学院歯学研究科顎口腔矯正学分野の沼崎研人助教らの研究グループは、東北メディカル・メガバンク計画の地域住民コホート調査および三世代コホート調査(2013〜2017年)に参加した40歳以上の参加者、1万7349名を対象とし、前歯のかみ合わせと歯の本数との関連を調べました。
平均年齢は59.3歳、そのうち68.1%が女性でした。
以下の表は、前歯の重なりを4分類(正常・開咬・反対咬合・複合)に分け、歯の喪失率をグラフにしたものです。

前歯の被蓋が正常な群の歯数が20本未満になるリスク比を1とした場合、受け口の人は歯の喪失リスクが1.48倍であることがわかりました。
対照的に、開咬の患者は奥歯の喪失率は正常の噛み合わせの人と比べるとリスク比は半分以下であるともされました。
反対咬合で顎を前に移動させたり横にスライドさせたりするときに、正常な咬合ならばうまく当たるはずの歯に当たらずに、奥歯の歯に強く当たってしまいます。
この状態は奥歯に過度な力がかかっていることになり(咬合性外傷)、歯の周りにある歯ぐきや骨、歯周組織の破壊をうながす要因になります。
東京歯科大学歯科矯正学講座(2005年)の報告です。
文京区において8020(80歳以降に20本以上歯が残存している)を達成した52人の口腔内を診査した。
上下顎前歯の前後的位置関係において反対咬合および上下的位置関係で、開咬と診断された方の8020達成率は0%でした。

竹内史江、宮崎晴代、模擬悦子 他:Dental Prescale®を用いた8020達成者の咬合調査,歯科学報,105(2):154-162,2005
限られた調査の中ではありますが、これは開咬及び反対咬合の方は80歳時点で奥歯を失ってしまっている可能性が高いことを示唆しています。
では、受け口(反対咬合)や開咬の人が歯の喪失を防ぐためにはどうすればいいのでしょうか。
それは、可能な限り前歯の位置関係を正常咬合に近づける、つまり歯の矯正治療をすることで歯の喪失のリスクを減らすことができます。

矯正治療の目的は、歯並びをきれいにすることだけではありません。
しっかりと噛める噛み合わせを作り、お口の中を清潔に管理しやすい環境にすることは歯の寿命を延ばすことにもつながります。
歯を失う主な原因は、これまで虫歯や歯周病と考えられてきました。しかし近年の研究により、歯並びの乱れ(不正咬合)も歯の喪失に関係していることが明らかになっています。
歯を失うことは、食べる・話すといった基本的な機能の低下だけでなく、全身の健康や生活の質にも大きな影響を与えます。そのため虫歯や歯周病の予防に加えて、歯並びの改善(=矯正治療)についても前向きに検討することが、歯の健康を守るうえで重要です。
実際に沼崎研人助教らによる最新の研究では、地域住民を対象としたデータをもとに、反対咬合と残存歯数との関連性が示されました。これは、歯並びと歯の喪失の関係を地域レベルで明らかにした初めての研究とされており今後の予防歯科の観点からも注目されています。
詳しい内容については、以下のリンクから元の論文をご覧ください。
Numazaki K, Tamahara T, Komiyama T, Numazaki T, Goto M, Shimizu R, Mizoguchi I, Igarashi K, Kanetaka H. Association of anterior crossbite and open bite with the number of remaining teeth: A cross-sectional study from the Tohoku medical megabank cohort. Clin Oral Investig. 2026 Jan 8;30(1):43. doi: 10.1007/s00784-025-06715-5. PMID: 41501205; PMCID: PMC12779704.
当院の矯正治療では、歯並びを整えることによる審美性の実現を大前提として、高い完成度、矯正中の不快感を極力少なくすることなどを配慮しております。
少しでも矯正治療について興味がありましたら矯正の相談から可能です。
私たちは歯周病専門のクリニックとして虫歯治療から噛み合わせまで、
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