インプラントとは
失ってしまった歯を補うには「入れ歯」「ブリッジ」「インプラント」の3つの治療方法がありますが、入れ歯やブリッジは、手入れが面倒だったり、周囲の健康な歯に悪い影響を与えたりという欠点もあります。
その反面、インプラント治療は隣の歯を削らないので、周囲の歯に負担がかかりません。また、入れ歯のように取り外しの必要もなく、見た目の美しさ、機能的にも優れた最新の治療法です。
インプラントは、あごの骨にチタン製の人工の歯根を埋め込み、それを土台にして人工の歯を装着する治療方法です。骨が十分にない場合は、骨移植や骨造成が必要なこともありますので、詳細はご相談ください。
インプラント治療の流れ
ステップ1 カウンセリング
失われた歯の数、インプラントを埋め込む骨の量・質・位置、何本インプラントを埋入するかなど、治療の計画を立てます。
ステップ2 精密検査・診断
診断に必要な歯の型・歯科用CTの撮影・レントゲン写真・現状の歯の写真、そのほか診断に必要な資料の検査を行います。
インプラント治療を長期安定させるには、口腔内環境の安定が重要です。この時点で全体の歯周病の状態や周辺の歯の状態も検査し、必要があれば、虫歯や歯周病の治療を終えたあとにインプラント治療を行うこともあります。
※CT撮影の際の患者様の負担(費用面と時間面)を減らすために、外部施設の利用ではなく医院内の歯科用CTにてスピーディーな対応を行っております。
ステップ3 インプラント治療の計画の説明
診断に基づき治療計画・流れ・期間・費用・リスク・治療後の保証・メインテナンスなど、詳しくご説明いたします。
ステップ4 インプラント埋入手術
本数によって異なりますが30~60分程度で終わります。当日はゆったりと過ごすに越したことはありませんが、お仕事を休まなければならないなど、日常生活に大きな制限はありません。
ステップ5 埋入したインプラントを定着させるための保定期間
上のあごで4~6か月、下のあごでは2~3か月を目安に安定を保ちます。
ステップ6 アバットメントの装着・歯の製作
埋入したインプラントにアバットメント(接続部)を装着し、最終的に使用していただく歯の製作に入ります。なお当日は、仮歯を装着して帰ることができます。
ステップ7 歯の装着
最終的な人工歯を装着します。
ステップ8 経過観察・メインテナンス
歯がきちんと機能しているか、頬などを噛むことがないか、話しにくくないかなどをチェックし、歯みがきの仕方も指導します。
※インプラントを長く使用できるかどうかは、毎日のケアと定期的なチェックがとても大切です。装着後1年間は半年に1回、それ以降は1年に1回の定期検診をお勧めします。
インプラントに対する当院の方針
当院の院長は歯周病の専門医・指導医でもあり、進行した歯周病のケースであっても可能な限りご自身の歯を残すことを主義としています。そして、歯自体だけではなく、歯の下の歯槽骨に関しても「残すことがお口全体の健康のために大切である」と考えます。
それは、インプラント治療や入れ歯治療においても同様です。再生治療によって骨を再生することも可能ですから「歯を残すことがデメリットとなるケース」以外は、残すことに全力で取り組みます。そして、どうしても残すことが不可能なときのみ、入れ歯やインプラントをご提案しています。
また、入れ歯にすると、使われなくなった部分の骨が退化してしまうため、口腔環境全体の健康を維持するという視点から「入れ歯よりはインプラントのほうが理に適っている」と考えます。さらには、単に「骨があるところにインプラントを埋める」のではなく、噛み合わせ整合性も重視しています。
●インプラントとデンチャーの比較![]() インプラント |
![]() デンチャー |
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メリット | ・咬合力に優れている ・完成度が高い ・持続性が高い |
・比較的安価に治療できる ・治療時間が短く、日帰り治療も可能 ・手術が不要 |
デメリット | ・費用がかかる ・骨や歯肉の増減などの外科処置が必要なケースがある ・治療に時間がかかることがある |
・粘膜に触れている部分の沈み込みがあり、天然の歯に比べ咬合力は30%程度に弱まってしまう ・粘膜形態の変化により、歯並びが変わっていて、経年変化で残存歯に負担がかかる |
その日に噛めるインプラント治療 【抜歯即時埋入】
「インプラントは魅力的な治療方法だけど、噛めるまでに時間がかかるのでは?」「何度も手術をするのはイヤ!」そんな考えから、インプラント治療を敬遠している方は多いのではないでしょうか?そこで当院では、抜歯直後にインプラントを埋入する「抜歯即時埋入法」を導入。抜歯とインプラント埋入を当時に行い、仮歯を装着します。これにより、その日に噛むことができます。
「抜歯即時埋入」は、患者さまの精神的負担・時間的負担・費用的負担を取り除ける、魅力的な治療方法です。ただし、どんなケースでも抜歯即時埋入ができるわけではありません。抜歯する歯の場所や状態にもよりますので、ぜひ一度ご相談ください。
骨を増やす手術
●骨造成手術
歯周病や虫歯の悪化により、一度歯を抜いてしまうと、あごの骨への刺激が少なくなることや入れ歯などによる圧迫により、あごの骨が薄くなってしまう傾向があります。そういうケースでは「骨造成手術」を行うことによってインプラント可能な状況を作ります。
骨造成手術が必要な場合は、残念ながら抜歯即時埋入は不可能で、骨造成手術による骨の再生を待ってからインプラントを行います。そういった流れから、抜歯即時埋入に対して「抜歯待時埋入」とも言います。
●サイナスリフト
上あごの骨が少ない場合に行う手術です。上あごの奥歯の上方には「上顎洞」(サイナス)という空洞があります。この空洞に補填材(骨と同様の組成で最終的に自家骨に置き換わっていくもの)を填入することで、骨を作っていきます。
●ソケットリフト(オステオトーム)
サイナスリフトと同じく、上あごの骨が少ない場合に行う手術です。ソケットリフトは4mm以上の骨の厚みがある場合に行われます。骨の厚みがそれ以下の場合は、サイナスリフトを行う場合が多いです。
●GBR
骨が不足している箇所に特殊な膜を覆うことで、骨を作るスペースを確保します。その中に、骨のもとになる素材を詰めていき、骨の再生を促します。
増骨ではなく、骨を整形する【スプレットクレスト】
スプリットクレスト法とは、インプラントを埋入する際に、骨の高さはあるが、幅が少ない(薄い)場合に行う治療法です。骨頂にノミのような器具を用いて溝を形成し、楔(くさび)効果によって骨を横に押し広げる方法です。
【ガイドサージェリー】切開不要のインプラント埋没法にも対応
CTスキャンデータを基に作成された「サージカルテンプレート」を用いて手術を行うことにより、事前に決められた位置、深さにインプラントを入れることができます。
歯肉を切開して、骨の状態を見ながら手術をするのではなく「切らず」に手術を終えることが可能なので、手術時間を短縮でき、腫れや痛みも抑えられます。当然、抜糸の必要もなく、歯肉の治癒期間も短くなるので、患者さまの体への負担を大きく抑えることができます。
ウトウトしている間にインプラント手術が行える【静脈内鎮静法】
「インプラントには興味があるけど、どうしても手術が怖い」という方も多いのではないでしょうか? そこで当院のインプラント手術では、提携している日本歯科大学病院や昭和大学病院の麻酔専門医による、静脈沈静法と呼ばれる特殊な麻酔方法を導入しています。
この麻酔の特徴は、半分寝たような状態で手術を受けられることです。ハンモックでゆらゆらと揺られているような、心地よくリラックスした状況で、もちろん治療中の記憶はほとんどありません。ですから、治療があっという間に終わる感覚です。この麻酔によって、多くの患者さまがインプラント治療を成功させています。
また、同様の効果がある「笑気吸入鎮静法」も導入しています。鼻の上に小さなマスクを乗せて、血圧や脈拍を安定させる低濃度の「笑気」と、心臓や脳の働きを正常に保つ高濃度の「酸素」を混合させた気体を吸い込むだけ。マスクを外せばすぐに元の状態に戻るので安心・安全です。当院では「さわやか診療」と呼んでいます。
どちらの鎮静法も生体情報モニタを使用し、常時心電図、血圧、心拍数、血中酸素飽和度を計測、記録を行いながら安全な処置を心がけております。
手術においてのこだわり
インプラントのメーカーは、ストローマン、パイオホライズン、ブローネマルクなどを使用。ストローマンのボーンレベルは、最も新しいインプラント体です。患部の状況に応じてインプラント体を使い分け、最適な手術を行うことにこだわっています。
また、インプラントのみではなく「患者さまの望む治療」という点にもこだわり、インプラントをご提案する場合でも、インプラント以外の選択肢も併せてご提案しています。
たとえば、抜歯を前提とする治療方法としては、インプラント以外に「抜歯する歯の両隣を処置してブリッジをかける」「バネをかけたデンチャーを製作する」「自家歯牙移植」をご提案すると共に、「何もしない」という選択肢もありだと考えています。ご提案はしますが、強制ではないのです。
当院で使用するインプラントについて
当院ではストローマンインプラント(スイス)とバイオホライズン(米国)
のインプラントを症例に合わせ選択させて頂いております。
ストローマンインプラント
当院はインプラント世界シェアNo.1のストローマンインプラントとの新製品SLActiveを導入しました。インプラントの固定が難しかった患者さまにも、これからはより確実に短い期間で治療を行うことができます。
SLActiveの表面性状は血液との馴染みがよくインプラント固定が難しかった患者さま、より短期間での治療をご希望の患者さまに適したインプラントです。
バイオホライズンインプラント
バイオホライズン社は、インプラント治療の分野において、世界の第一線で活躍する研究者や歯科医師を中心に徹底した研究を行って開発されたインプラントシステムです。
その製品は20年以上の歴史を持ち、世界約85カ国で販売され、多くの患者さまに提供しています。
<特徴>
●しっかり結合して身体に馴染む
●経年による歯ぐきの退縮が少ない
●細菌の感染を防ぐ
歯肉との結合部分にレーザーロックと呼ばれる細胞と結合しやすい処理が施されており、生体との親和性が非常に高いインプラントです。親和性が高いので骨だけでなく歯ぐきともしっかりと馴染むのでインプラントを長持ちさせることもできます。また、しっかり結合することで、細菌が入り込むのを防ぐことができます。
長持ちするインプラントへ【FGG 遊離歯肉移植術】
インプラント治療を行うには様々な理由があります。
・虫歯が深く進行しすぎてしまい抜歯になってしまった
・神経の治療がうまくいかず抜歯になってしまった
・歯周病が悪化してしまい抜歯になってしまった
・ブリッジの土台が不慮の事故で歯が折れて抜歯になってしまった
・もともと歯がなかった
などが挙げられます。
様々な原因で歯を失い、入れ歯・ブリッジ・歯牙移植など多様な選択肢の中から、患者さまのメリット・デメリットを考慮し、インプラントを選択し施術を行うということになります。
ある一部の条件を除いては、歯が失くなるということは周りにあったはずの骨や歯肉もなくなっている可能性が高いです。
遊離歯肉移植術とは
インプラント周囲の歯肉が弱い場合や少なくて歯根が露出してしまっている場合に、固く締まった丈夫な歯肉を上顎の裏などから取って、必要な部位に移植する施術です。歯肉が弱いと歯磨きの摩擦や圧力に耐えることができず、歯肉が萎縮したり炎症を起こしたりすることが多いので、インプラントが長持ちしなくなってしまいます。歯ぐきの健康を維持し、インプラントを長持ちさせるためにも必要な施術となります。
インプラント治療を行った、あるいは行う予定の周りの歯肉について簡単にまとめてみました。
インプラント周囲の付着歯肉(非可動粘膜)の必要性
メインテナンス
当院では、歯肉の環境を整備・調整することも重要と考え「インプラントを埋めたら終わり」ではなく、メインテナンスも行っています。強くお勧めするのは、4か月に一度の検診で、歯肉の位置や噛み合わせの状況などをチェックすることです。
半年に一度は部分的なレントゲン、1年に一度は広域撮影のレントゲンを撮影し、口腔内全体の状況を把握。骨造成を行った場合には、1年に一度くらいのペースで、CTによる再分析を行うこともあります。
すべては、患者さまにとって、快適な状況を長く維持していただきたいという願いからです。
当院の特徴
優秀で勤勉なスタッフが揃っています
院長が国際口腔インプラント学会の認定医を取得し、インプラント治療の技術を研鑽するほか、スタッフのレベル向上のため、インプラントマネージャーによる個別研修を定期的に行っています。また、医院全体としての勉強会も年4回行い、勉強会では個々の研修内容を発表しています。
さらには、個別面談で足りない知識を補うことや、オペの際のスタッフ間の動きを研修するといったチームワークの養成にも力を入れています。
逆に、スタッフから助言やアイディアをもらうこともあります。たとえば、インプラントや歯周外科手術を受けたあと、待合室でお会計を待つのはつらそうだという気づきから、お会計は診療室内で対応したり、ユニットサイドで休んでから帰宅していただいたりするなど、ホスピタリティの向上につながっています。
ISQで骨とインプラントの結束度合いを計測いたします
当院には、骨とインプラントの結束度合いが図れる機械(ISQ)があり、すべてのインプラントでISQ値を測定しています。インプラントの状況や完成度を数値化して管理しているので、安全で確実な処置が実現しています。
インプラントをお考えの方へ
「あごの骨にチタン製の人工の歯根を埋め込む」と聞くと、経験のない方が不安になるのは無理もないことです。当院では、治療内容のご説明やご提案をしても、選択を無理強いすることはありません。口腔内の環境を安定させたり、資料をお見せしたりして、安心とご納得をしていただけるように努めます。
また、検査の結果、どうしてもインプラントが必要な状況ということでなければ、根管治療で対応可能であることや、口腔内環境の改善で済むなど、状況に応じた治療方法をきちんとお伝えします。そして、インプラントを行う場合でも、静脈内鎮静法の導入は、きっと安心材料になると思います。
さらには、過剰に「ノンリスク」とゴリ押しするのではなく「サイナスリフトを行った場合は、しばらくの間は腫れます」など、治療によるリスクをきちんとお伝えすることで、ご信頼いただきたいと考えています。そして、インプラント手術後の帰宅がつらいようであれば、タクシーを呼ぶといったケアにも配慮しています。
【エクストルージョン】による骨量増加にも対応
エクストルージョンは、歯根挺出術(しこんていしゅつじゅつ)とも言います。矯正治療の手法のひとつで、歯ぐきの下にある虫歯や歯が割れている場所を歯ぐきの上に露出させることによって、虫歯や割れた歯に土台を立てることが可能になります。
この方法を使って、インプラント予定の歯を抜歯する前に引っ張りあげて時間を置くことで、骨量の増加を促すことができます。歯が引き上げられて生まれた空間を埋めるように歯槽骨が成長しますので、その成長を待つことによってインプラントが可能になるケースがあります。
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